幸福を引寄せる考え方

コロナウイルス拡散とポジティブ心理との関係

令和2年は、日本だけでなく世界中でコロナウイルスが暴れまくり、企業にも個人の生活にも大きな打撃を与えました。世界的なパンデミックという状況に、大都市のロックダウンなど多数の人の生活が一変しました。

一方、日本の感染者数と死者数が異常に少ないことに世界は首をかしげています。

 

日本の感染者数が少ない理由

米外交政策専門誌「フォーリン・ポリシー」には、下記のような記事が書かれています。

「新型コロナとの闘いで、日本のしていることはすべて間違っているように見える。人口における検査率はたったの0.185%で、社会的距離戦略も中途半端にしか行われていないし、日本人の大多数が政府の対応を批判している。しかし、死亡率は世界の中でも最も少なく、病院は崩壊の危機を回避している。感染者数も減少しており、万事が変にうまくいっているように見える」

中国人旅行者も多く、新型コロナの致死的な影響を受ける高齢者が世界的にも多い社会であるにもかかわらず奇跡的に感染者数が少ないことの理由について、理解しがたいといった論調です。

実際、日本医事新報社がホームページで公表しているデータにおいても感染者数、死亡者数ともに、日本の少なさは際立っています。

 

 

仮説として言われている主なものとしては、

  1. 衛生状況がいい
    日本は衛生状態が非常に良い国です。発展途上国だけでなく、アメリカにおいては経済格差とコロナウイルスによる死亡者数が比例しており、貧しい方が多い地域であればあるほど、死亡率が高まっています。
  2. 核家族化が進んでいる
    感染者数が多いイタリアなどは、高齢者と若者や子供が同居する、いわゆる3世代同居が主流ですが、日本は、核家族が進んでいるために、家での感染が少ないと言われています。
  3. 衛生的な習慣と接触が少ない文化
    日本はもともと手洗い、うがいを行う国であり、新型コロナウイルスが流行する前からインフルエンザ予防や花粉症対策でマスクをされている方も多いのに対して、諸外国ではこの習慣がないという国も多いです。または、挨拶の時にキスをする、顔を近づける、握手をするなど文化的に濃厚な接触が多いのに対して、日本はお辞儀をして接触することは多くはありません。

 

その他、国民皆保険制度や、人種による遺伝子の違い、異なる型のコロナウイルスが既に2020年1月に多くが感染して免疫ができていた他、様々な要因が挙げられています。

もちろん、要因は一つだけはありませんので、複数の要因が影響しています。
私自身、ウイルスの専門家でありませんので、医学的なことはわりませんが、性格的な面から考えてみたいと思います。

 

欧米人とアジア人との違い

コロナウイルスは、アジアにおいて、日本、韓国は、特に感染者数が少ない状況です。また、発祥地であると言われている中国についても、早くから国による感染対策が打たれて、一早く終息に向かいました。

一方、最も感染者数や死者数が多いアメリカは、トランプ大統領は、1月~2月にかけて10回以上にわたって警告を受けていたにも関わらず、「暖かくなれば、消える」他の発言で初動対応が遅れ、感染爆発を生んだとも言われています。

トランプ大統領に限らず、多くのアメリカ人は、楽観的に捉えていたことがわかります。ロサンゼルスでは、5月15日、屋外でのマスク着用が義務づけられたにも関わらず、マスクをつけない人も多くいたと言います。

日本では、戦前の大日本帝国憲法には国家緊急権の規定がありましたが、現行憲法には存在しません。戦争の反省から国家の暴走を防ぐ意識が働き、強制的なことを国民に強いることができないためです。そのため、他国が実施したロックダウンをすることができませんが、自ら自制する文化があります。

ヴァ―ニジア大学の心理学者大石繁宏らは、アメリカ人と韓国人の考え方の違いを調査しています。調査内容は、「イエス・キリストは幸せだったか」について、アメリカ人と韓国人では、その回答は大きく異なりました。アメリカ人と韓国人の数十人(両方ともクリスチャン比率60%)を集めて、キリストについての自由に記述してもらう方法で実施されましたが、以下のような結果になりました。

アメリカ人

  • キリストは幸せだった。
  • キリストは外交的でオープンな人物像

韓国人

  • キリストは幸せではなかった。
  • 苦悩、犠牲、十字架での処刑、流血

キリストに会った人は、当然いませんが、キリストの物語は迫害と処刑が中心です。しかし、アメリカ人は、そうした物語にも関わらず、キリストの崇高さや親切心について多く語りました。一方、韓国人はキリストに対する苦悩・犠牲といったネガティブな言葉が、アメリカ人の5倍以上あったのです。

日本には、ネガティブな状態を受容している世界観があります。日本人は、当たり前に、「修行」といった言葉を使います。我慢する、苦しさに耐えて努力することについて美しいものだといった意識があります。また、集団主義、間人主義と言われ、自分の意見よりも、周りにいる人たちの意見を尊重し、ものをはっきり言うのを避ける、恥をかくのを嫌うといった傾向が強くあります。

一方、アメリカ人は、ポジティブで楽観主義(オプティミスト)であると言われています。マスク着用が義務付けられた後も、コロナウイルス感染の深刻さをまともに受け止めず、ビーチにはマスク着用もしないまま水着姿のレジャー客が繰り出す光景が見られました。また、個人主義と言われ、他の人の意見を聞くよりも自分の意見が重要であるとし、ストレートに発言します。また、自尊心を失うことを罪と考えます。

 

ポジティブ一辺倒は危険、ネガティブも有益

ポジティブ心理学は、言葉の響きから、ネガティブな考え方や感情は、良くないことであるといった印象があります。しかし、ネガティブは、人間として、持ち合わせている当然の危険回避・自己防衛の手段です。原始時代に野生動物に遭遇し、襲われそうになれば、怖れて何とか逃れようと必死になります。さらに、自己防衛のために、攻撃的になることもあるでしょう。

つまり、「怖れ」「怒り」「憎悪」といったネガティブな感情は、人間が生き延びることを助け、そうやって助かった人間が増え、その感情を次世代につないでいくことで、今日の人間が存在していると言った面を忘れてはいけないと思います。

ポジティブな感情に偏り過ぎずネガティブな感情も有益であるといえます。ポジティブ心理学者においては、多少なりとも見解の違いはありますが、特に、ポジティブ心理学の創始者マーティン・セリグマンの愛弟子、バーバラ・フレドリクソンは、ネガティブ思考の重要性を強調しています。

人間の生活ですから、日々、いいこともあれば悪いこともあります。ポジティブな感情を抱けるような出来事もあれば、ネガティブな感情を抱かざるを得ないこともあります。そうした中、ネガティブなことが多ければ落ち込み、ポイティブなことが多ければ感情は高揚しますが、バーバラは、ネガティブとポジティブには、境目(ティッピング・ポイント)があるとし、日本で言う「いい加減」の比率があるとし、日本でも翻訳本が出ていて『ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則』表題にも「3対1」です。

ネガティブなこと1個につき、ポジティブなことが3個もしくはそれ以上あった場合、人間の感情は上昇気流に乗り、積極的になることができるとしています。逆に、ネガティブなこと1個につき、ポジティブなことが3個以下、たとえば1個だったりすると、人間は下降気流に巻き込まれ、落ち込んでやる気が出なくなり、さらに落ちて鬱になってしまうとしています。いずれにしても、バーバラは、ネガティブの有益性についても認めているのです。

 

ロバート・ビスワス=ディーナーもネガティブの有用性を強調する心理学者の一人です。ディーナーは、ホールネス(全体性)といった考え方が重要であると主張しています。ホールネス(全体性)を実現している状態は、心理的なリソースをフルに使っている状態です。いつも幸せでいようとして、悲しみ、怒り、罪悪感といった感情を無視している人がいます。一方で、人生は苦しい出来事の連続だと考える人もいます。

ホールネス(全体性)を実現している人とは、この中間にいて、バランスが取れている人です。つまり、悲しみや怒りといったネガティブな感情は無視せず受け入れるものの、苦痛や困難といったネガティブな感情に捉われていない人です。

ディーナーは、バーバラとは異なる比率で、ポジティブとネガティブ8:2だとしていますが、いずれにしてもネガティブな有用性を強調します。さらに、ディーナーは、限りがない便利さ快適さを追求しすぎたことで、わずかな不快感が耐えられなくなってしまうと指摘しました。

アメリカ人だけでなくイタリア人なども、陽気な性格であることで有名です。コロナウイルスが流行し始めた当初は全く気にかけず、マスクもせず、キスやハグをする光景が放映されていましたが、文化的な習慣があるにせよ、コロナウイルスの感染が広がっている中で日本人の私にとっても異様に映りました。

いずれにしても、冒頭に書いたように、コロナウイルス感染数と死亡数は、医療体制、保険制度他、様々な要因があり、一概に断定することは不適切だと思います。
一方、コロナウイルスのニュースが出始めてから、それぞれの国民がとった対応が、コロナウイルス拡散に影響を与えた一因ではないでしょうか

結論を整理すると以下の通りです。

ポイント

  1. ポジティブだけでなくネガティブも有益な役割を果たす。
  2. ポジティブとネガティブな比率も3:1、または5:1が重要である。
  3. ホールネス(全体性)が重要で、快適性を追求しすぎることでわずかな不快さに対する抵抗力がなくなってしまう。

 

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藤井正隆

代表取締役社長株式会社イマージョン
大手組織開発コンサルティング会社で、営業責任者及び総研チームを経て、マネージングコーディネーターコンサルタントとして、「事業戦略」、「マーケティング戦略」、「組織変革」のコンサルテーション及びマネジメント研修を担当。 徹底した現場主義で、優良企業年間120社以上を視察訪問研究を継続中。千葉商科大学大学院商学研究科客員教授

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